安青錦の四股名の由来と関西大学相撲部での挑戦

ウクライナ出身の力士、安青錦は、日本の相撲界で注目を集めています。

彼の四股名には、師匠・安治川や故郷ウクライナ、そして関西大学相撲部での友人である山中新大さんとの深い絆が込められています。

2022年、戦火を逃れ日本に渡った安青錦は、関西大学相撲部での厳しい稽古を通じて、日本語や文化を身に着け、相撲の技術も大きく成長しました。

今回は、彼の四股名の由来や関西大学での挑戦、そして今後の目標について詳しくご紹介します。

ポイント

安青錦の四股名の由来とその意味
ウクライナから日本への移住背景と相撲への挑戦
関西大学相撲部での稽古や友情の重要性
若隆景の影響を受けつつ、自身の相撲スタイルを確立していること

安青錦の経歴と四股名に込められた意味

ウクライナ出身力士としての背景と移住経緯

安青錦は、ウクライナ・ヴィーンヌィツャ州出身の力士です。

彼は7歳から相撲を始め、若くしてその才能を発揮し、2019年の世界ジュニア選手権で3位という実績を残しました。

また、相撲だけでなく、レスリングでも優れた成績を収め、ウクライナ国内大会で110kg級優勝を果たしています。

しかし、2022年2月、ロシアのウクライナ侵攻により、ウクライナでの相撲生活を続けることが難しくなりました。

彼は戦火を逃れ、安全な環境で相撲を続けるために日本への移住を決意しました。

その際、2019年の世界ジュニア選手権で知り合った関西大学相撲部主将の山中新大さんに助けを求め、日本での生活が始まりました。

日本に到着した彼は、関西大学相撲部で稽古を重ね、日本の相撲文化に深く触れることになります。

四股名「安青錦」の由来と師匠・安治川との関係

安青錦の四股名には、彼の背景や大切な人々との関係が深く反映されています。

「安青錦」という名前の中で、「安」は彼の師匠である安治川親方（元関脇・安美錦）から取られています。

安治川親方は、安青錦が関西大学相撲部で稽古をしていた際、彼の才能に注目し、安治川部屋に迎え入れました。

この出会いが、安青錦の相撲キャリアにおいて大きな転機となりました。

「青」はウクライナの国旗に由来しており、彼の故郷への強い思いが込められています。

また、彼自身の目の色である青色も表しており、個人的な要素も取り入れられています。

「錦」は、相撲界で輝かしい未来を切り開くことを願って選ばれたものです。

さらに、「新大」は、彼を日本に導いた恩人であり、関西大学相撲部の主将であった山中新大さんから取られています。

この四股名は、彼の過去と現在の大切な人々との繋がり、そして未来への希望が込められた特別な名前です。

関西大学相撲部での成長と友情

山中新大との出会いと友情が導いた日本での稽古

安青錦と山中新大の出会いは、2019年に大阪で開催された世界ジュニア相撲選手権がきっかけでした。

この大会でウクライナ代表として出場していた安青錦は、15歳という若さで3位に入賞し、その実力が注目を集めました。

当時、関西大学相撲部の山中新大主将がその試合を観戦しており、「この選手は強い」と声をかけたことが二人の交流の始まりでした。

その後、SNSを通じて交流を続けていた二人ですが、2022年にロシアがウクライナに侵攻した際、安青錦は安全な環境で相撲を続けることを決意し、山中に助けを求めました。

山中は快く彼を受け入れ、安青錦は日本へと渡りました。

来日後、安青錦は関西大学相撲部で山中と共に稽古を重ねました。

異国での生活は容易ではありませんでしたが、山中や部員たちの支えがあり、彼は日本語の習得や日本相撲への適応を進めました。

この友情と支えが、安青錦が日本で相撲を続ける基盤を築く上で、非常に重要な役割を果たしました。

関西大学での稽古と相撲への適応

安青錦は、関西大学相撲部で稽古を積みながら、日本の相撲文化に見事に適応していきました。

ウクライナではレスリングの経験もありましたが、日本の相撲は押しの強さや立ち合いの速さが重要で、初めのうちはその違いに苦戦しました。

それでも、山中新大や部員たちとの稽古を通じて、日本独自の相撲スタイルに少しずつ適応していきました。

特に、関西大学相撲部での稽古は彼にとって大きな学びの場となりました。

稽古では押し相撲の技術や立ち合いの強化に集中し、部員たちからのアドバイスを受けながら、体幹を鍛え直すなど、基本的な動作から徹底的に磨き上げました。

ウクライナとは異なる技術体系を取り入れることで、彼の相撲の幅が広がり、稽古ごとに成長を遂げました。

また、部員たちとの日常のやり取りや稽古の中で、日本語を使う機会が増え、日本語力も向上しました。

こうした環境が、彼を技術面だけでなく、精神的にも強くし、日本の相撲に溶け込むことを助けたのです。

安青錦にとって、関西大学での経験は、日本の相撲界で成功するための重要なステップとなりました。

日本語と文化への適応

日本語と関西弁の習得エピソード

安青錦は、来日当初は日本語をほとんど話せませんでしたが、関西大学相撲部での生活を通じて、急速に日本語を習得していきました。

日本語の授業にも通い、基本的な会話から徐々に覚え、相撲部の仲間たちとのコミュニケーションが進むにつれて、日常的に使う日本語が身についていきました。

特に面白いのは、関西大学が大阪にあるため、自然と関西弁も覚えてしまったという点です。

相撲部のメンバーと日々のやりとりを重ねる中で、関西独特の言い回しやイントネーションも学んでいき、時には「ほんまか？」や「めっちゃ○○やん」といった関西弁を使うようになったというエピソードもあります。

このように、日々の稽古や日常生活で培った日本語力は、相撲部の仲間たちとの信頼関係を築く上でも大きな助けとなりました。

日本語だけでなく関西弁も交えたコミュニケーションが、彼が日本の文化に適応するための重要な要素となっていたのです。

異文化適応と日本での生活

安青錦にとって、日本での生活はウクライナとは大きく異なるものでした。

言葉や文化、食事など、すべてが新しい挑戦でしたが、彼は驚くほど早く適応していきました。

その背景には、関西大学相撲部での日々の稽古や、部員たちとの交流が大きく関係しています。

食文化の違いに戸惑いながらも、安青錦は日本の食べ物に徐々に慣れていきました。

特にラーメンや寿司が好きで、部員たちと一緒に食事をすることで、日本の食文化にも親しみを持ちました。

また、彼が日本語や関西弁を使って積極的にコミュニケーションを取る姿勢は、部員たちにとっても好感を持たれ、彼の異文化適応を後押ししました。

さらに、相撲という共通のスポーツを通じて、異なる文化的背景を持つ人々との交流がスムーズに進んだことも、適応を加速させた要因です。

日本の相撲特有の礼儀や作法、稽古場での厳しい規律も、最初は慣れるのに時間がかかったものの、持ち前の真面目さと努力で習得していきました。

こうして、安青錦は言語や文化の壁を乗り越え、日本での生活を楽しむだけでなく、相撲に集中できる環境を整えました。

この適応力は、彼が異国の地で成功するための重要な鍵となっています。

安青錦の相撲スタイルと目標

若隆景からの影響と自身のスタイルの確立

安青錦が目標とする力士は、若隆景です。

若隆景の相撲スタイルは、体がそれほど大きくないにもかかわらず、力強いおっつけとスピーディーな動きが特徴であり、安青錦もその点に強い影響を受けています。

特に、若隆景の取り組みを毎日研究し、彼の技術や動きを参考にしながら、自身の相撲に取り入れていきました。

2024年には、若隆景が安治川部屋に出稽古に来た際、安青錦は直接指導を受ける機会がありました。

この経験は、彼にとって非常に刺激的であり、さらなる成長への意欲を駆り立てました。

しかし、安青錦は「若隆景のようになりたい」というだけでなく、「自分自身のスタイルを確立したい」とも考えています。

安青錦は、自身のレスリング経験を生かした技や柔軟な体の動きを駆使し、独自の相撲スタイルを作り上げようとしています。

投げ技を得意としながらも、稽古を重ねて押し相撲にも取り組むなど、多彩な技術を磨いています。

このように、彼は若隆景に学びつつも、自分ならではのスタイルを確立し、相撲界での存在感を高めようとしています。

現在の成績と今後の展望

安青錦は、2023年9月場所で初土俵を踏み、その後も順調に成績を伸ばしてきました。

彼は初土俵からの連勝を重ね、2023年11月の序ノ口優勝、続く2024年1月場所では序二段でも優勝を果たしました。

また、2024年には三段目に昇進し、幕下に進んでも6勝1敗という好成績を残しています。この勢いで、彼は将来の新十両昇進を目指しています。

安青錦の今後の展望としては、さらなる技術の向上と体力強化が課題となっています。

特に、彼が苦手としている「押し相撲」にも磨きをかける必要があります。

日本の相撲スタイルに完全に適応しつつ、自分の得意技をより強化することで、さらなる活躍が期待されています。

また、彼の目標はただ十両に上がることだけではありません。

彼は、「横綱になる」という大きな夢を抱いています。

現在の成績とこれまでの成長を考慮すると、その夢も決して遠いものではなく、彼の持つ努力と意志が、未来の相撲界を牽引する力士としての道を切り開くでしょう。